ドイツリポート 2011.8-9
G再生可能エネルギーの推進役がリニューアル
〜2012年新しいFITはどう変わるのか(要旨)
ドイツ版FITは、まずそれぞれの再生可能エネルギーの種類によって、ベースの買い取り金額が違ってきます。さらにその中でも大きさや設置の方法などでも細かく分かれています。たとえば、太陽光の場合、屋上設置と地上設置、さらにそれぞれの発電能力と土地の種類(農地や転用地など)で価格に差が付きます。風力では、コストがかかる洋上風力の方が陸上の風力設備より買い取りが高く設定されています。またこれを基本として、用意された条件をクリアするとボーナスという名で加算される仕組みもあります。たとえばバイオガス発電なら家畜系の廃棄物や一般生活ごみを原料に加えるとプラス何セントという具合です。
脱原発もありますが、前述したように海外に原料を頼らないエネルギーの確保政策は、ドイツにとって重要な安全保障政策の一つでもあります。つまり、再生可能エネルギーの拡大は、「とりあえず優遇」の政策ではなく、「拡大のスピードを決め、そのためには制度をどうすればいいかを考え、真剣に進める」政策なのです。
具体的に言えば、電力の買い取り価格の決定方法です。再生可能エネルギーの事業が成り立つためにいくらで買い取ればよいかという計算のもと金額が決められています。およそ10年で投資回収ができることを前提にしていると言われます。さらに買い取り価格は原則として20年間固定です。ですから、事業者は必ず現れ、利益の出る確実な事業計画に対して銀行も喜んでお金を貸します。
日本の再生可能エネルギー特別措置法でも事業性による価格決定の文言が入っています。しかし、「電気料金への跳ね返りを1kwあたり0.5円程度に抑えるため買い取り価格を抑制する」との声がすでに聞こえてきます。では再生可能エネルギーの割合をいつまでに何パーセントに持っていきたいのでしょうか。0.5円との整合性はどこにあるのでしょうか。もちろん、価格決定は簡単ではありません。長年にわたり消費者への負担を強いるわけですから、技術開発によるコストダウンを計算したり、変化に対応する調整策を細かいデータや予測に基づいて講じたりする必要があります。正直言って、ドイツがそれらを見事にクリアしてきたというわけではありません。特に太陽光については現在の急激な太陽パネルの価格下落は予想されていなかったに違いありません。今回の新しいEEGでも各所で数字の変更が行われています。
来年1月からは新しいEEG( Erneubare
Energien Gesetz)=2012再生可能エネルギー法がスタートします。技術の進歩で設備費用などの発電コストが下がるのは当然ですから、まずそれに合わせた買い取り価格が設定されています。多くの再生可能エネルギーからの買い取り価格が現行より下がり、さらに毎年減っていくことになります。大まかに言って、毎年1.5%ずつ買い取り価格が下がります。つまり12年に完成するプラントは13年に完成するものに比べて電力1.5%高く売れるというわけです。
ただし、施行を目の前にした新EEGの評判は今一つです。政権内部からも、完璧なものとは言い難いが施行されることが重要だとの声が上がるほどです。細かな数字はそろえたものの、たとえば太陽光施設の総量制限など制度の変更には手がつかなかったという評価が多く上がっています。
(写真:バイオガス発電用エンジンの製作会社2G)
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