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日本再生可能エネルギー総合研究所は、再生可能エネルギー普及のための情報収集と発信を行っています。

リポートREPORT

 ドイツリポート 2011.8-9

  D新しいエネルギービジネスの芽吹き
       〜再生可能エネルギーの周辺技術と水素社会を狙うベンチャービジネス(要旨)

 市場から消える会社もあれば、さっそうと登場する会社もあります。

 新しいエネルギーに関連して、ドイツではエネルギーベンチャー企業が次々と誕生しています。再生可能エネルギーのフィールドでは、基本技術だけでなく再生可能エネルギーの弱点ともいわれる電力供給の安定化の関連技術のビジネスが盛んです。たとえばスマートグリッドやスマートシシティ用の技術開発とシステム構築、燃料電池や新型の蓄電池を使った新しい蓄電システムなどです。一方、水素社会の到来を見据えた取り組みでは、バイオマスを原料とした水素製造や、その水素を使った燃料電池や燃料電池ビークル技術に取り組む企業なども元気いっぱいです。(写真:開発中のコストダウン燃料電池を手にするマスターフレックス社の開発者))

 風力発電と燃料電池システムを合体した蓄電システムの実証については、リポートBで紹介したゲルゼンキルヘン単科大学の取り組みが特に参考になります。

 デュッセルドルフを州都としルール工業地帯を抱えるNRW州(ノルトラインヴェストファーレン州)は、ドイツ最大の人口と経済規模を有する州です。この州では、将来の経済発展の核として水素エネルギーを掲げ、州立の「燃料電池・水素ネットワーク」を立ち上げて数々の研究施設でプロジェクトを走らせながら『水素社会』へと邁進しています。

 同州のヘルテン市にある20ヘクタールの広大な炭鉱跡地には、中心施設の一つ水素ユーザーセンター(H2herten)があります。そこには木質バイオマスをガス化して電力や水素を生産するデモプラントを建設中の企業や、燃料電池で動く車両の開発会社をはじめ、水素ステーション、風力発電所が並び、さらには日本のダイキンのヨーロッパ法人によるエネルギーゼロオフィスの実験棟もあります。(写真:水素関連企業が入る水素ユーザーセンター、ヘルテン)

一方、同じNRW州でもオランダとの国境に近いハインスベルクにある古い倉庫跡に工場を構えるのは、次世代の燃料電池の主流といわれるSOFC(固形酸化物型燃料電池)に賭けるベンチャー企業CFCLです。本社はオーストラリアの会社ですが、再生可能エネルギーに対するFIT制度がない本国ではなく、手厚い補助が望めるヨーロッパに市場を求め、ベンチャー企業としては思い切った投資を行って本格的な燃料電池工場をこの土地に作り上げました。
 彼らの武器は高い技術力です。発電効率の高いSOFCの中でも世界トップクラスの60%の効率を誇り、新天地のヨーロッパに打って出ました。技術開発の要素はまだ残していますが、改良型の燃料電池の製造ラインをこの秋から動かすと自信満々です。(写真:CFCL社の燃料電池工場)

 将来を担うエネルギーの方向性はいまだ確定しておらず、しばらくは流動的かもしれません。しかし、あらゆる可能性をビジネスチャンスに変えようと未来に立ち向かう新しい力は、未来のエネルギー像を作り出す原動力のひとつになるはずです。

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