ドイツリポート 2011.8-9
Aめまぐるしく変わる『ドイツ最大』の太陽光施設
〜メガソーラーの拡大競争と太陽電池メーカーの没落(要旨)
中でも、1000kw、つまり1メガワットの電気を作り出せる能力を持つ太陽光発電所をメガソーラーと呼びます。ドイツ最大のメガソーラー施設がどこなのか、実は安定していません。最大を売り物にして太陽電池の売り上げを伸ばそうと次々とメガソーラーが建設されるため、数か月経つとトップが入れ替わってしまうからです。
太陽電池の技術改良などによる施設の費用削減を背景にして、設定されている電力買い取り価格は下がるシステムです。今回出来あがった最終工期分の電力買い取り価格は1kwhあたり22セント(25円弱)となりますが、それでも、十分採算が取れるということです。それだけ劇的に建設費用が下がっているということなのでしょう。
この巨大施設を保有するのは、単純な企業ではありません。3つに分かれたファンドが所有、メガソーラーの運営を行っています。
(写真:旧東ドイツの軍用飛行場跡地に建設されたメガソーラー施設:ランディス))
しかし、すべてが景気の良い話ばかりとはいきません。いまドイツの新聞、経済雑誌などに踊る活字は、「ユーロ危機」だけではないのです。「太陽電池企業の死」、「持っていてはいけない太陽光企業株」などなど、ドイツの太陽電池製造会社の破綻を伝えるものが注目を集めています。
原因は安値で市場を席巻する中国系企業の進出です。そこで起きたのは今アメリカの市場と同じ現象でした。中国企業との競争に敗れたドイツ企業の倉庫には大量生産したセルが山積みになり、投げ売りが始まったのです。つい先日まで優良企業だった太陽電池製造会社が次々と市場から追い払われています。
データは次の通りです。2004年時点で、世界の太陽電池のドイツ企業の売上シェアは69%、中国は7%でした。それが昨年は、ドイツが21%、中国が45%と完全に逆転したのです。
ドイツに起きていること、アメリカに起きていること、それが日本に起きないと誰が言えるのでしょうか。
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