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日本再生可能エネルギー総合研究所は、再生可能エネルギー普及のための情報収集と発信を行っています。

リポートReport

 2012. 5.20 ニュース「2011年もドイツは電力輸出国」
              〜脱原発後のドイツ
                                    

○はじめに

 ドイツが脱原発を決めたことに対して「隣のフランスの原発からの電力を買ってくるからできる。」という話を一時期よく聞きました。結局、まわりまわって原発に頼っているのだとか、自分勝手な政策だということの傍証に使われたようです。ドイツ国内でも同様の議論が聞かれたのも事実です。

ニュース発見『ドイツは2011年も電力輸出国に留まった』

 ドイツの週刊誌「シュピーゲル」の関連サイト「Manager Magazin」が4月23日付で、『ドイツは2011年も電力輸出国に留まった』という記事を出しました。他にも同様の記事が散見できましたので、まとめる形でお話しします。

 ドイツは、長い間一貫して電力の輸出国です。例えば、2010年は、17,700GWhを輸出しました。脱原発を決めて17基の原発のうち8基を停めた昨年は電力のやりくりがかなり苦しいと思われていました。しかし実際は、6,000GWhを輸出しました。
 原発が停まった直後の1〜2か月は確かに輸入に転じました。しかし、その後は一貫して輸出を続けていたのです。特に昨年末から今年の初めにかけては風力発電の伸びもあって、ちょうど電力不足に困っていたフランスを補う形でフランスへ輸出をしていました。とはいっても、ドイツでは電力の需要が一番多いのが冬なので、今年はまた不足の懸念も残っているようです。

「フランスの原発の電力を買う」ということ

 「フランスの原発の電力」の話は本当に繰り返し聞きますし、まるで何の疑いもないかのように話されることもあります。また東側の隣国のチェコも原発があって、同様のものの言い方がされることもあります。いずれにせよ、事実関係はこれまで書いた通りです。

 ただ、ドイツも年間トータルでは電力は輸出超過ですが、一日単位や時間単位で見れば、例えばフランスとの電気のやり取り(輸出も輸入も)があるのは当然です。私がお話ししたかったのは、このような論はあまりに些末的だということです。単純に言って、ただ批判するためだけの議論にしか聞こえません。そんなことよりも、将来のエネルギーをどうするかというスタンドポイントで前向きな論を戦わせることが大事だと思いませんか。

脱原発から今後の電力補強へ

 やや緊張状態が続くドイツの電力事情ですが、脱原発への対応が進んで2014年にはかなり落ち着くという予想がなされています。記事は以下のように続きます。

 これまで決定している新たな大型の発電施設は、天然ガス発電が29か所、石炭火力が19か所、洋上風力発電が23か所となっています。合計の発電能力は4万2000GWと巨大で、投資コストは600億ユーロ以上ということです。

 ドイツでさえも、脱原発をそのまま再生エネ電力で賄うことはできません。粛々と化石燃料で補いながら、最終目標に近づいていくという姿勢です。日本の場合、ある意味「運が良かった」のは、各電力会社の過剰施設のお蔭で、これだけ原発が停まってもブラックアウトもせずに電力の供給ができているのだと言えるでしょう。

以上


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